名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
ある日、突然、将嗣が私のぜんぜん知らない人と恋に落ちて結婚する事があっても私は笑顔で「おめでとう」と言ってあげられる事ができるのだろうか? 少し複雑な気持ちになった。
自分には朝倉先生という恋人が居るくせに将嗣が他の人と結ばれると思うと嫌な気持ちになるなんて、自分はどこまで貪欲で浅ましいのかと、情けなくなる。
桐本さんの店を後して、駐車場に向かい元来た道を歩き出す。
「じゃ、ドライブしながら宿に向かうか?」
「えっ、将嗣は御飯大丈夫なの?」
将嗣は優しい瞳を向け、さっき桐本さんのお店で貰った袋を持ち上げニカッと笑う。
「これ、やっつけないとな」
パンが悪いとは思わないけど、自分たちだけお店で食事をさせてもらって申し訳ない気持ちになる。
「園原さん、やっぱモテるわな。うん。わかる」
紗月が感心したように言った。
「紗月ちゃんが言うほど、そんなモテないよ。好きな人に振り向いてもらえないなら意味ないし、今は美優ちゃんに夢中だしね」
と笑ってくれたけど、それが少し寂しそうに見えた。
将嗣は、朝倉先生と結婚を前提にお付き合いをしているという話をしてから以前のような強引さは見せず、一歩引いた態度で接してくれている。
ただ、時折見せる切なげな表情を見るとどうして良いのか分からなくなってしまう。
自分には朝倉先生という恋人が居るくせに将嗣が他の人と結ばれると思うと嫌な気持ちになるなんて、自分はどこまで貪欲で浅ましいのかと、情けなくなる。
桐本さんの店を後して、駐車場に向かい元来た道を歩き出す。
「じゃ、ドライブしながら宿に向かうか?」
「えっ、将嗣は御飯大丈夫なの?」
将嗣は優しい瞳を向け、さっき桐本さんのお店で貰った袋を持ち上げニカッと笑う。
「これ、やっつけないとな」
パンが悪いとは思わないけど、自分たちだけお店で食事をさせてもらって申し訳ない気持ちになる。
「園原さん、やっぱモテるわな。うん。わかる」
紗月が感心したように言った。
「紗月ちゃんが言うほど、そんなモテないよ。好きな人に振り向いてもらえないなら意味ないし、今は美優ちゃんに夢中だしね」
と笑ってくれたけど、それが少し寂しそうに見えた。
将嗣は、朝倉先生と結婚を前提にお付き合いをしているという話をしてから以前のような強引さは見せず、一歩引いた態度で接してくれている。
ただ、時折見せる切なげな表情を見るとどうして良いのか分からなくなってしまう。