名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
二人の関係は美優を挟んで切っても切れないものになっているからこの距離間がおそらく正しいのだろう。
手を伸ばせば触れる距離にいながら触れてはいけない微妙な距離だとしても……。
喜多方から磐梯山方面に車で20分ほど行った山の中の宿に着いた。
まわりに人家などなく山の中にポツンと一軒家的な感じ。でも作りは新しく構えも立派で、隠れ家的宿といったところ。
案内された部屋は、離れになっていて、和洋室のベッドルームと10畳の和室が二つ、それに広いリビングルームのお部屋まである。
「すごーい。贅沢なお部屋」
「夏希ちゃん、見て! 露天風呂が付いている」
リビングルームの障子を開け放つと広い縁側というか、ウッドデッキがあってそこには4.5人は入れそうな大きな露天風呂が付いていた。
「うわっー。凄いね」
こんな贅沢なお部屋一体いくらするんだろう……。
下世話な考えだが、根っからの庶民なのですっごい気になった。
すると、同じく根っからの庶民の紗月が将嗣に
「このお部屋一泊のお値段は?」と聞いた。
うんうん、気になるよね。
「まあまあ、今回は、お姫様三人もエスコートするからね。お姫様方が気に入って良かったよ」
将嗣は笑ってごまかした。これは、かなりのお値段とみた!
贅沢なお部屋でありがたく1泊目を無事終える事が出来た。