名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
イケボが聞こえ、たくましい腕が私を支える。

だけど、痛みがツラくって、イケボの顔を拝む余裕は無い。

「車道に出たら危ないですよ」

再びイケボが聞こえたが、痛みせいで俯いたまま返事をした。

「すみません。病院に行きたいので、タクシーを拾いたくて」
と、肩で息をしながら言い訳をする。
 
あまりの辛そうな様子に見かねたのかイケボが、私を支えながら言った。
「代わりにタクシーを拾いますよ」

優しい申し出に頷いた私を支え、イケボはタクシーを拾ってくれた。

ありがとうございました。と、お礼を言ってタクシーに乗り込むとイケボも何故かタクシーに乗り込んできた。

「?」

「このままだと心配だから病院で看護師さんに引き渡すまで面倒見るよ」

ヤバイ!神降臨か!!
痛みを堪え顔を見上げると、イケボに負けないぐらいのイケメン。

はー。尊い。
と、思った瞬間、腰骨がミシミシと音を立て痛みが走る。
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