名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

 
 唇が離れ目が合うと、額をコツンと合わせ愛おしい人に告白する。

 「夏希さんと美優ちゃんの事、大切に思っている」

 「朝倉先生の事、好きです」

 彼女からもその言葉を言われ感激で胸が詰まる。
 気持ちを確かめ合うようにもう一度、唇を合わせた。

 甘い口づけに酔いしれていると、一人遊びに飽きた美優ちゃんが騒ぎ出した。
 なんとなく顔を見合わせて、笑みが漏れる。
 「ごめん、ごめん」と美優ちゃんに声を掛け二人でベビーサークルの前に移動し、美優ちゃんを抱き合あげ
 「美優ちゃんは、私たちの天使だよ」と抱きしめた。

 私と夏希さんを出合わせ、私に生きる事の感動を与えてくれた私の天使。

 涙が出そうなぐらいの幸せの時間を噛みしめる。
 特別な言葉を交わさなくても優しい空気に包まれていた。
 
 そして、美優ちゃんを抱いたまま夏希さんを真っ直ぐ見つめる。

 「結婚を前提として、付き合ってほしい」

 
 【終】

 

 
 
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