名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
看護師さんのテキパキとした指示に誰も異議を唱えられる雰囲気ではなかった。

「分娩室に急いでください」

ガラガラとストレッチャーが走り、分娩室に到着。
待ち構えていた助産師さんの指示が飛ぶ。

「パパさん手を握ってあげて!」

「はい、もう大丈夫ですよ。いきんで」


 おぎゃ──!!
 
「産まれました。元気な女の子よ。おめでとうございます」

 助産師さんは手際よく生まれたばかりの赤ちゃんを産湯で洗い、小さな体に小さな産着を着せた。

「はい、抱っこして、パパとママと赤ちゃん、家族三人の記念写真を撮りますよー」

 パシャ!!
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