名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「将嗣は、すでに美優の父親だよ。遺伝的にはね。美優にとって良いパパになれるかはこれからなんじゃない? 私とは別れたんだし、別れた時は、もう会いたくないって思った。けれど、将嗣の事情も分かった。まあ、自業自得な所もあるけれどね。だから友達からでいい?」

「わかった、ありがとう。俺、頑張るよ」
   自分の家に戻って美優をベッドの上に寝かせ、車から生鮮食料品を下ろし冷蔵庫に仕舞い終えると、ふぅっと、ため息が出た。
 
 元カレとの再会、離婚の理由、美優の事、そして告白。
 はぁ~。もう、キャパオーバーで無理!!

 まあ、美優の事を気持ち良く受け入れてくれた事は、素直に嬉しかった。
 よく、ドラマとかコミックでは「俺は知らない、お前が勝手に産んだろう」とかって、よくある事だから心配だった。
 美優が大きくなってパパの事を訊ねても、噓をついたりしなくてもいい。
 
 でも、やり直す事には抵抗があった。
< 74 / 274 >

この作品をシェア

pagetop