名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

「連絡先教えてあげるから今日は帰ってよ。この後、仕事があるのは本当なんだからね!」

 部屋に携帯電話を取りに入った。美優を一人で部屋に置いておくのは不安だったので、美優を抱いて携帯電話を持ち玄関の将嗣の所に戻った。

 将嗣はニッコリ笑い、美優に向かって両手を広げる。

「美優ちゃんおいで」

 美優も呼ばれて将嗣に手を伸ばす。

「時間が無いんだから早くして!」

「そんな釣れないことを言うなよ」
 美優を抱き上げようとしている。私は遮るように声を掛けた。

「ラインアプリ入っている?」

「入っている」
 と言いながら美優と握手をして笑い合っている。

 ため息をつきながら、二人でシャカシャカしていると、朝倉先生の車が、アパートの来客用駐車場に停まった。
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