御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
ふり向くと、Vネックの白のセーターに黒いパンツ、それにカーキ色の薄手のコートを羽織った隆がいた。あっさりした格好だけれど、服それぞれがハイブランドのものだとわかる。服のぱりっと感がその辺の服とは、全然違うのだ。
「いいえ、全然」
言いながら、隆の顔を盗み見る。会いたかった顔に、出会えて嬉しい。
「あれ、夏美ちゃん、今日、なんか可愛い格好してるね」
…!言ってもらえた…!
夏美は心の中で、ガッツポーズをした。
「じゃ、今日はどこで似顔絵しようかなあ。こないだのところは、時間的にまだ早いし」
そう言う隆は、手に大き目の紙袋を提げている。
「隆さん、その荷物は…?」
「あ、これ?こないだは都合よく、お店の椅子を借りられたけど、今日はそうもいかないかも、と思って買ってきた。小さめの椅子二つ。折りたたみ式だよ」
「また、お金を遣わせてしまって…」
「いいの、いいの。僕がやりたくて、やってるんだから。それより、今日の場所…F町の方に行ってみよっか」
お客さんの呼び込みも上手いけれど、似顔絵を好む客がいそうな場所をちゃんと探し当てる。そんな嗅覚のようなものが、隆にはありそうだ。接客業みたいなもの、と言っていたけれど、一体なんの仕事なんだろう。
夏美は改めて疑問に思いながら、歩き出した隆の後をついて行った。
「乾杯」
シャンパンの入ったグラスを持ち上げて隆は言った。しゅわしゅわのシャンパンを綺麗だな、と思いながら、夏美はグラスをあげて隆と目を合わせた。シャンパンをひと口飲むと、想像以上に美味しかった。
「美味しい…」
思わず、呟いてしまう。
「そう?よかった。夏美ちゃんが喜ぶの、どんな店かな、って考えたんだけど。今日の夏美ちゃんの格好がとても素敵だから合わせてみたよ」
似顔絵の仕事が終わってから隆に連れて来てもらったのは、フレンチレストランだった。夏美なりにおしゃれしてきてよかった、とほっとした。とは言っても、自分には高級すぎる雰囲気にドキドキしてしまう。
「なんか…緊張してしまいます」
思わず本音をもらすと、隆がどうして?と声をあげた。
「緊張なんてしなくてもいいじゃない。だって夏美ちゃん、今日もしっかり稼いだじゃない。身分相応だよ」
「そ、そうでしょうか…」
「いいえ、全然」
言いながら、隆の顔を盗み見る。会いたかった顔に、出会えて嬉しい。
「あれ、夏美ちゃん、今日、なんか可愛い格好してるね」
…!言ってもらえた…!
夏美は心の中で、ガッツポーズをした。
「じゃ、今日はどこで似顔絵しようかなあ。こないだのところは、時間的にまだ早いし」
そう言う隆は、手に大き目の紙袋を提げている。
「隆さん、その荷物は…?」
「あ、これ?こないだは都合よく、お店の椅子を借りられたけど、今日はそうもいかないかも、と思って買ってきた。小さめの椅子二つ。折りたたみ式だよ」
「また、お金を遣わせてしまって…」
「いいの、いいの。僕がやりたくて、やってるんだから。それより、今日の場所…F町の方に行ってみよっか」
お客さんの呼び込みも上手いけれど、似顔絵を好む客がいそうな場所をちゃんと探し当てる。そんな嗅覚のようなものが、隆にはありそうだ。接客業みたいなもの、と言っていたけれど、一体なんの仕事なんだろう。
夏美は改めて疑問に思いながら、歩き出した隆の後をついて行った。
「乾杯」
シャンパンの入ったグラスを持ち上げて隆は言った。しゅわしゅわのシャンパンを綺麗だな、と思いながら、夏美はグラスをあげて隆と目を合わせた。シャンパンをひと口飲むと、想像以上に美味しかった。
「美味しい…」
思わず、呟いてしまう。
「そう?よかった。夏美ちゃんが喜ぶの、どんな店かな、って考えたんだけど。今日の夏美ちゃんの格好がとても素敵だから合わせてみたよ」
似顔絵の仕事が終わってから隆に連れて来てもらったのは、フレンチレストランだった。夏美なりにおしゃれしてきてよかった、とほっとした。とは言っても、自分には高級すぎる雰囲気にドキドキしてしまう。
「なんか…緊張してしまいます」
思わず本音をもらすと、隆がどうして?と声をあげた。
「緊張なんてしなくてもいいじゃない。だって夏美ちゃん、今日もしっかり稼いだじゃない。身分相応だよ」
「そ、そうでしょうか…」