御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
「沢渡夏美さん。あなたの絵、私のイメージにあっています。シンプルだけど、それだけじゃない深みがあるし、何しろ表情がいきいきしていて、とてもいい。新しい絵本を、僕と作りませんか」
夏美は、ごくっと息をのんだ。
何が何だかわからないが、自分がビックビジネスに誘われていることまでは理解できた。
思わず、何と答えればいいのか、助けを請うように隆の顔を見る。隆はにこっと微笑んだ。
隆さんも、応援してくれてる。それは間違いないのだから。
夏美は、そう自分に言い聞かせて言った。
「よ、よろしくお願いします…!」
「よかった。隆、いい子みつけたねえ」
濱見崎が笑顔で言う。
「恐れ入ります」
隆は誇らしげに笑みを浮かべる。それから、夏美は、濱見崎から絵本のストーリーや、細かいイメージなどを聞いた。夏美は必死でメモを取った。濱見崎が頭に描いている青写真にどこまで近づけるかが肝だ、と思ったからだ。打ち合わせは三時間に及んだ。
打ち合わせの最後の段階で、夏美が絵本のパイロット版を作ることが決まった。二か月で仕上げることが条件だった。
リリス出版を出る頃には、外はすっかり暗くなっていた。
「はあ…つ、疲れた…」
ものすごい量の情報を頭にインプットしたせいで頭の中はぱんぱんだ。
「お疲れ様。何か、食べて帰る?」
一緒にリリス出版のビルを出てきた隆が言った。くたくたに疲れていたが、夏美は隆に言わずにはいられなかった。
「た、隆さん!どうして、副社長だってこと言わなかったんですか!」
ええ、と隆は口をへの字にした。
「だってさ、夏美ちゃん、僕がリリスの副社長だってわかったら、もう仕事相手としか見れないでしょ。そんなの、つまんないじゃない。僕は素の自分を知ってもらいたかったんだよ」
「素、すって…」
夏美は怒りを感じながらも、確かに隆の肩書きを知っていたら、自分の部屋に呼んだりできなかっただろうと思った。
「それは、そうだけど…」
隆の言い分はわかるのだが、何だかだましうちをされたみたいで、その悔しさを伝えたいのだが、うまく言葉にならない。
「それにね。今回の話は、しっかりとしたビジネスだったから、僕の贔屓目で夏美ちゃんを選んだんじゃない、そこもわかってほしかったんだ」
「え…」
夏美は、ごくっと息をのんだ。
何が何だかわからないが、自分がビックビジネスに誘われていることまでは理解できた。
思わず、何と答えればいいのか、助けを請うように隆の顔を見る。隆はにこっと微笑んだ。
隆さんも、応援してくれてる。それは間違いないのだから。
夏美は、そう自分に言い聞かせて言った。
「よ、よろしくお願いします…!」
「よかった。隆、いい子みつけたねえ」
濱見崎が笑顔で言う。
「恐れ入ります」
隆は誇らしげに笑みを浮かべる。それから、夏美は、濱見崎から絵本のストーリーや、細かいイメージなどを聞いた。夏美は必死でメモを取った。濱見崎が頭に描いている青写真にどこまで近づけるかが肝だ、と思ったからだ。打ち合わせは三時間に及んだ。
打ち合わせの最後の段階で、夏美が絵本のパイロット版を作ることが決まった。二か月で仕上げることが条件だった。
リリス出版を出る頃には、外はすっかり暗くなっていた。
「はあ…つ、疲れた…」
ものすごい量の情報を頭にインプットしたせいで頭の中はぱんぱんだ。
「お疲れ様。何か、食べて帰る?」
一緒にリリス出版のビルを出てきた隆が言った。くたくたに疲れていたが、夏美は隆に言わずにはいられなかった。
「た、隆さん!どうして、副社長だってこと言わなかったんですか!」
ええ、と隆は口をへの字にした。
「だってさ、夏美ちゃん、僕がリリスの副社長だってわかったら、もう仕事相手としか見れないでしょ。そんなの、つまんないじゃない。僕は素の自分を知ってもらいたかったんだよ」
「素、すって…」
夏美は怒りを感じながらも、確かに隆の肩書きを知っていたら、自分の部屋に呼んだりできなかっただろうと思った。
「それは、そうだけど…」
隆の言い分はわかるのだが、何だかだましうちをされたみたいで、その悔しさを伝えたいのだが、うまく言葉にならない。
「それにね。今回の話は、しっかりとしたビジネスだったから、僕の贔屓目で夏美ちゃんを選んだんじゃない、そこもわかってほしかったんだ」
「え…」