御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
「いや。僕が、夏美ちゃんと婚約する時期をもっと慎重に考えるべきだった。いくらでも手は打てたのに…ほんと、ごめん」
夏美はふるふると首を振った。
そんなこと、ない。そんなこと…!
言葉にならない嗚咽を夏美はもらした。
でもね、夏美ちゃん、と隆の声に何か明るいものがあった。
「濱見崎先生が、SNSに早速書いてくれたんだよ。沢渡夏美は自分が才能があると見込んで抜擢したんだ、って。後で読んだらいいよ。夏美ちゃんは、何も悪くない」
「で、でも隆さんに傷が」
「僕は、自慢じゃないけど、炎上経験者だから。ゲームの本を作って、とんでもない駄作だって叩かれてね。やっぱりお坊ちゃんだからだろうって言われたよ。でも、そんなのは最初だけだった。最終的にはその本はちゃんと売れたしね。業界あるあるでしかないよ」
「じゃ、じゃあ…」
夏美は重い頭を抱えながらも、どうしても言いたいひとことを言う決意をした。
「今までどおり、隆さんの側にいられるの…?」
隆は、うん?と目を丸くした。
「何言ってるの!当たり前じゃない。僕の方こそ、あんたなんかと婚約するんじゃなかった、って思われてるんじゃないかってヒヤヒヤしてるんだけど」
「そんなこと…ありえ、ない」
「ホント?あー、よかった!」
隆が夏美の涙をティッシュで拭いてくれる。
「ごめんね。新婚早々、夏美ちゃんを守れなかったけど…それでもついてきてくれる?」
「っうんっ…!」
せっかく隆が拭いてくれたのに、夏美はさらに涙をぼろぼろこぼしてしまう。
隆は苦笑して言った。
「もういいや。泣きたいときは泣けばいいさ。思いっきり、泣いちゃえ」
夏美は頭をそっと抱えられ、隆の胸に身を預ける格好になった。後から後から出てくる涙を、夏美はなかなか止めることができなかった。
「多分、二週間もすれば、落ち着くと思うだけど。まだ記者がうろうろしてるから、当分、マンションから出ない方がいいね」
ネット記事がアップされてから数日が経っていた。隆が記者に囲まれたり、ネットで夏美について炎上したりと嫌なできごとが続いていた。
しかし、隆はほとんど気にしていなかった。会社からまっすぐ帰ってきては、夏美とまったり過ごすのを楽しんでいた。隆が普通にしてくれたので、夏美もネガティブに考えるのはよそう、と自然に思えた。
夏美はふるふると首を振った。
そんなこと、ない。そんなこと…!
言葉にならない嗚咽を夏美はもらした。
でもね、夏美ちゃん、と隆の声に何か明るいものがあった。
「濱見崎先生が、SNSに早速書いてくれたんだよ。沢渡夏美は自分が才能があると見込んで抜擢したんだ、って。後で読んだらいいよ。夏美ちゃんは、何も悪くない」
「で、でも隆さんに傷が」
「僕は、自慢じゃないけど、炎上経験者だから。ゲームの本を作って、とんでもない駄作だって叩かれてね。やっぱりお坊ちゃんだからだろうって言われたよ。でも、そんなのは最初だけだった。最終的にはその本はちゃんと売れたしね。業界あるあるでしかないよ」
「じゃ、じゃあ…」
夏美は重い頭を抱えながらも、どうしても言いたいひとことを言う決意をした。
「今までどおり、隆さんの側にいられるの…?」
隆は、うん?と目を丸くした。
「何言ってるの!当たり前じゃない。僕の方こそ、あんたなんかと婚約するんじゃなかった、って思われてるんじゃないかってヒヤヒヤしてるんだけど」
「そんなこと…ありえ、ない」
「ホント?あー、よかった!」
隆が夏美の涙をティッシュで拭いてくれる。
「ごめんね。新婚早々、夏美ちゃんを守れなかったけど…それでもついてきてくれる?」
「っうんっ…!」
せっかく隆が拭いてくれたのに、夏美はさらに涙をぼろぼろこぼしてしまう。
隆は苦笑して言った。
「もういいや。泣きたいときは泣けばいいさ。思いっきり、泣いちゃえ」
夏美は頭をそっと抱えられ、隆の胸に身を預ける格好になった。後から後から出てくる涙を、夏美はなかなか止めることができなかった。
「多分、二週間もすれば、落ち着くと思うだけど。まだ記者がうろうろしてるから、当分、マンションから出ない方がいいね」
ネット記事がアップされてから数日が経っていた。隆が記者に囲まれたり、ネットで夏美について炎上したりと嫌なできごとが続いていた。
しかし、隆はほとんど気にしていなかった。会社からまっすぐ帰ってきては、夏美とまったり過ごすのを楽しんでいた。隆が普通にしてくれたので、夏美もネガティブに考えるのはよそう、と自然に思えた。