御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
夏美にできるのは、依頼されたイラストの仕事をきちんと仕上げることと、隆の食事を作ることだった。それでいいんだ、と何度も自分に言い聞かせて、ネットもテレビも見ない日々に慣れてきていた。
「夏美ちゃん。足りないものはない?会社帰りに買ってくるけど」
隆が朝食を食べ終えてコーヒーを飲みながら言った。
「うん。カタログで選べる宅配サービスでほとんど揃うから大丈夫。まあ、確かにお魚なんかは魚屋さんで売られているのをどうしても買いたくなっちゃうけど。でも、昨日食べた鯖の切り身も美味しかったし。なんとかなりそう」
「そう?日用品はともかく、食料品は僕が目利きじゃないからなあ…」
隆にアジを買ってきて、と頼んだらイワシを三匹買ってきてしまった。二人の間で笑い話になっている。
「そうだ。トシに頼めばいい。彼女なら、料理上手だからいいのを選んできてくれるよ」
夏美はコーヒーをふきこぼしそうになった。
しまった。まだトシさん問題が片付いてなかった!
「え、えーと、トシさんも忙しいんじゃないの?申し訳ないよ」
「大丈夫。あいつ商社勤めだけど、定時に帰るんで有名なんだ。夏美ちゃんだって、トシから色々教わりたいって言ってたじゃない。一人でこもっていると気も塞ぐでしょ。気分転換に女子トークしなよ」
だから、それがトシさんだとそうはいかないんだってば!
そう隆に言いたいが、夏美としては敏恵を警戒していることを隆に知られたくない。敏恵が善意で色々とやってくれている、と信じている隆にしたら、夏美が邪推で嫉妬していると思うだろう。
でも、間違いない、と夏美は確信していた。敏恵は、あからさまにこそしなかったけれど、夏美を認めておらず、隆の隣にいるのは自分だ、と主張しているように見えた。
どうにかして隆が敏恵をうちに呼ぶのを止めようと夏美が言葉を探していると、隆のスマホが鳴った。
「あ、トシ。ちょうど話してたところだったんだよ。今日の夕方って空いてる?うん、そうなんだ。食料品の買い物を頼もうと思って。うん。悪いね」
それから数分話すと隆はスマホの通話ボタンを切った。
「あ、夏美ちゃん、トシ、オーケーだって。なんか、ちょっと顔見にこようかなって思ってたらしいよ。食料品はトシが適当にみつくろって買ってきてくれるって。ちょうどよかったね」
「夏美ちゃん。足りないものはない?会社帰りに買ってくるけど」
隆が朝食を食べ終えてコーヒーを飲みながら言った。
「うん。カタログで選べる宅配サービスでほとんど揃うから大丈夫。まあ、確かにお魚なんかは魚屋さんで売られているのをどうしても買いたくなっちゃうけど。でも、昨日食べた鯖の切り身も美味しかったし。なんとかなりそう」
「そう?日用品はともかく、食料品は僕が目利きじゃないからなあ…」
隆にアジを買ってきて、と頼んだらイワシを三匹買ってきてしまった。二人の間で笑い話になっている。
「そうだ。トシに頼めばいい。彼女なら、料理上手だからいいのを選んできてくれるよ」
夏美はコーヒーをふきこぼしそうになった。
しまった。まだトシさん問題が片付いてなかった!
「え、えーと、トシさんも忙しいんじゃないの?申し訳ないよ」
「大丈夫。あいつ商社勤めだけど、定時に帰るんで有名なんだ。夏美ちゃんだって、トシから色々教わりたいって言ってたじゃない。一人でこもっていると気も塞ぐでしょ。気分転換に女子トークしなよ」
だから、それがトシさんだとそうはいかないんだってば!
そう隆に言いたいが、夏美としては敏恵を警戒していることを隆に知られたくない。敏恵が善意で色々とやってくれている、と信じている隆にしたら、夏美が邪推で嫉妬していると思うだろう。
でも、間違いない、と夏美は確信していた。敏恵は、あからさまにこそしなかったけれど、夏美を認めておらず、隆の隣にいるのは自分だ、と主張しているように見えた。
どうにかして隆が敏恵をうちに呼ぶのを止めようと夏美が言葉を探していると、隆のスマホが鳴った。
「あ、トシ。ちょうど話してたところだったんだよ。今日の夕方って空いてる?うん、そうなんだ。食料品の買い物を頼もうと思って。うん。悪いね」
それから数分話すと隆はスマホの通話ボタンを切った。
「あ、夏美ちゃん、トシ、オーケーだって。なんか、ちょっと顔見にこようかなって思ってたらしいよ。食料品はトシが適当にみつくろって買ってきてくれるって。ちょうどよかったね」