御曹司は天使クラス ~あなたのエールに応えたい~
半年後。春になり、夏美は隆と住むマンションで、来客を迎えた。
「あのなっちゃんが、こんなに立派になるなんて。マジでびっくりしたわあ」
そう言って、嬉しそうに微笑むのは、夏美の幼なじみ、康子だった。
「ほら、舞、なっちゃんに、描いてくれてありがと、って言った?」
康子は、隣に座る自分の娘の舞の背をぽん、と叩いた。舞は、今年から幼稚園の年長さんだ。髪の毛をツインテールにしていて、よく似合っている。
「なっちゃん。描いてくれてありがと」
そう言うと、きゃっと笑い、舞は恥ずかしそうにうつむいた。くー、抱きしめたいほど可愛い、と夏美も頬が緩んでしまう。
今日は、夏美の実家のあるT市から、康子と舞はやって来ていた。親戚の法事があるので、ちょっと会いたいな、と康子から連絡があり、夏美はイラストの締め切りもあったのだが、会いたい気持の方が強く、久しぶりに会うことにした。
マンションのリビングで、康子にコーヒーを、舞にココアをいれてあげた。
「お礼を言うのはこっちよ。舞ちゃんの絵を描いてなかったら、『ICHIGOぶっく』の絵を担当することはなかったんだから。舞ちゃん、さまさまです」
「いえいえ。もうね、地元じゃ大騒ぎよ。幼稚園の先生まで、『ICHIGOぶっく』を買って、これ、舞ちゃんがモデルなんですよねって。サインを頼まれそうになったけど、丁重にお断りしといた」
「お気遣いありがとう。何かといっぱい、いっぱいで。実を言うと、明日も締め切りなんだ」
「売れっ子イラストレーターってのに、とうとうなっちゃん、なったんやねえ」
「どうなんだろ。ありがたくお仕事が来るから、とりあえず必死にやってる感じかな。実はね、明日締め切りの分も、『ICHIGOぶっく』関連なの」
「えっ。あの絵本の続きがあるの?」
ぱあっと康子の目が輝いた。ベストセラー作家濱見崎による「ICHIGO」のキャラクターは、とても魅力的なので、絵本のその後のお話が読みたい、という読者の意見は多数寄せられていた。
夏美はにっこり笑って頷いた。
「うん。今度は絵本じゃなくて、濱見崎先生の小説なんだ。『ICHIGOぶっく』のいちごちゃんの物語は、小学六年生までだったじゃない。こんどの小説版は、小学生から二十代後半までなの。リリス出版から出るんだけど、その本の表紙の絵を依頼されたんだ」
「あのなっちゃんが、こんなに立派になるなんて。マジでびっくりしたわあ」
そう言って、嬉しそうに微笑むのは、夏美の幼なじみ、康子だった。
「ほら、舞、なっちゃんに、描いてくれてありがと、って言った?」
康子は、隣に座る自分の娘の舞の背をぽん、と叩いた。舞は、今年から幼稚園の年長さんだ。髪の毛をツインテールにしていて、よく似合っている。
「なっちゃん。描いてくれてありがと」
そう言うと、きゃっと笑い、舞は恥ずかしそうにうつむいた。くー、抱きしめたいほど可愛い、と夏美も頬が緩んでしまう。
今日は、夏美の実家のあるT市から、康子と舞はやって来ていた。親戚の法事があるので、ちょっと会いたいな、と康子から連絡があり、夏美はイラストの締め切りもあったのだが、会いたい気持の方が強く、久しぶりに会うことにした。
マンションのリビングで、康子にコーヒーを、舞にココアをいれてあげた。
「お礼を言うのはこっちよ。舞ちゃんの絵を描いてなかったら、『ICHIGOぶっく』の絵を担当することはなかったんだから。舞ちゃん、さまさまです」
「いえいえ。もうね、地元じゃ大騒ぎよ。幼稚園の先生まで、『ICHIGOぶっく』を買って、これ、舞ちゃんがモデルなんですよねって。サインを頼まれそうになったけど、丁重にお断りしといた」
「お気遣いありがとう。何かといっぱい、いっぱいで。実を言うと、明日も締め切りなんだ」
「売れっ子イラストレーターってのに、とうとうなっちゃん、なったんやねえ」
「どうなんだろ。ありがたくお仕事が来るから、とりあえず必死にやってる感じかな。実はね、明日締め切りの分も、『ICHIGOぶっく』関連なの」
「えっ。あの絵本の続きがあるの?」
ぱあっと康子の目が輝いた。ベストセラー作家濱見崎による「ICHIGO」のキャラクターは、とても魅力的なので、絵本のその後のお話が読みたい、という読者の意見は多数寄せられていた。
夏美はにっこり笑って頷いた。
「うん。今度は絵本じゃなくて、濱見崎先生の小説なんだ。『ICHIGOぶっく』のいちごちゃんの物語は、小学六年生までだったじゃない。こんどの小説版は、小学生から二十代後半までなの。リリス出版から出るんだけど、その本の表紙の絵を依頼されたんだ」