僕らの紡いだ音!
「萌香、気にしなくていいのよ。」
車の中で綾乃さんがそう言ってきた。
でも怖いと思った。
(調べられたらどうしよう…。私のこと、全部知られたら……。)
「萌香。」
「……!?」
ハッとして、社長と綾乃さんのほうを見た。
心配そうに見てくる2人―。
そうだよー、大丈夫。
シノがちゃんと私に生きる道をくれた。
私に逃げ道を作ってくれた。彼らから逃げる道を―。
「ごめんなさい。取り乱しちゃって。」
「…平気よ。でも、萌香。今回のこと嫌ならこれきりにする?」
「……保留でお願いします。」
そういうと、窓の外を見る。
「そういえば、次の学校ってどんなところ?」
「共学って言われている普通の学校よ。中高一貫校だけど、誰もあなたのことは知らないから安心して。」
「うん。ありがとう。綾乃さん、社長。」
それだけを言うと、私は目を閉じた。
ついたらきっと2人が起こしてくれるから―。