僕らの紡いだ音!
「今日、転校生が来るんだって。」
「まじで?女子かな。」
「えー、男子でしょ。」
クラスの奴らが今日来るらしい転校生の話題で盛り上がっているのを遠くから見ていた。
その様子に高等部からきている隼人と彰人が呆れ顔で話しかけてきた。
「ここからだと、話に混ざれないじゃん。行っておいでよ。」
「却下。それに誰も俺となんか話したくないだろうし。」
「なんでここでいつも弱気になるんだ?」
そう言われても困る。話を変えるために転校生の話をした。
「転校生なんてうちじゃ珍しいよな。」
「まぁ、中3の秋に転校はあんまり聞かないね。」
「訳ありなんじゃねーの?」
そう話していると、クラスに入ってきたやつが興奮したように言った。
「今、職員室にうちのクラス担任と話してる子いたけど、めっちゃ可愛い子だったんだけど!」
「ほらな、女子だったじゃねーか。」
「えー、男子だったらよかったのにー。」
そんな話を聞いているうちに予鈴が鳴った。
「じゃあ、俺らは行くからな。」
「また、昼休みに部室で。」
「わかった。」
2人と別れてから、席に着くと先生が入ってきた。
「ほら、席に就け。」
「せんせー、今日転校生が来るんでしょー?」
「ああ、そうだ。今紹介する。入って来い。」
「……はい。」
そういうと、少女が入ってきた。そして、黒板に名前を書いて振り返った時、俺は驚いた。
「篠宮萌香(しのみやもか)です。よろしくお願いします。」
そういうと、お辞儀をした少女。
「篠宮の席は、星風の前だ。窓側の後ろから2番目の席だ。」
「わかりました。」
そう答えると、一人一人に笑いかけながら、「よろしくね。」と言って席まで来た。
そして、俺にも同じように言って席に着いた。
周りはざわついていてうるさかったけれど、俺はもう目の前の少女のことが気になってしょうがなかった。