僕らの紡いだ音!


昼休みになると、クラスのほとんどの奴らが転校生である彼女に話しかけていた。
後ろの席で突っ伏しながら、その様子を見ていた。
「ねぇねぇ、篠宮さんって前は何処の学校だったの?」
「篠宮さんって兄弟とかいるの?」
「好きな芸能人って誰?」
「ええっと……。」
困り顔で返答しようとしている彼女を見ていると、なんだか無性に助けたくなって机を思い切りたたいていた。
「…あっと、ごめん。」
そう謝ってきたのは、困っていたほう。
ほかの奴らは、「何邪魔するんだよ。」とでも言いたげな顔だった。
そんな奴らから離れたくて教室を出た。
そして、部室のほうまで歩いて行った。
部室には、もうすでに2人ともいた。
「遅かったね、どんな転校生だった?」
「すげー可愛い女子って高等部でも話題に上がってたぞ。」
「この前会った子だった。」
『はっ?』
「だーかーらー!土曜日にスタジオであった奴だったんだよ!」
「まじで?」
「じゃあ、話がしやすくて助かるね。放課後、そっちに行くから。」
「そういえば、向こうは連絡してきたのか?」
「それが全然。だから、本人に直接言おうかなって。」
「まぁ、そのほうが早いしな。」
「わかった。クラスの奴ら、すごい勢いで質問してたし、放課後なら平気だろ。」
「じゃあ、この話は放課後ってことで。」
そういうと、飯を食い始めた。そして、簡単にカバー曲を何曲か弾いたころで、チャイムが鳴って俺らはそれぞれのクラスへ向かった。

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