僕らの紡いだ音!
出会い
「綾乃さん、それ本当ですか?」
あれから、しばらくたったころ、私とバンドを組みたいという申し出があったらしい。
そして、一度合わせてみたいということらしい。
「ええ。先方はいつでもいいらしいけど、どうする?萌香(もか)。」
そういわれて私は少し考えた。
バンドを解散してからもう2年たっていた。
その間、私は誰とも組まずソロボーカルとして活動していた。
それでも結構いい稼ぎになっていたし、不都合なこともなかった。
(まぁ、綾乃さんには心配されたけど。)
「合わせるだけなら…」
「日にちの指定はする?」
「土曜日にお願いします。」
「了解。連絡を入れておくわ。ああそれと」
「?」
いつもはっきりと言ってくる綾乃さんが急に口ごもり始めた。
どうしたのかと思うと嫌なことを言われた。
「シノは、ちゃんとわかってくれると思うわ。だからー」
「シノはもういないんですよ!」
自分でも驚いた。こんなに口調を強める気はなかった。
でも止められなかった。
「失礼します。」
それだけを言うと、私は事務所を出た。


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