婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!
清々しい、朝だった。
空は晴れ渡っていて、これなら洗濯物もよく乾きそうだ。
だから今日はまず洗濯をして、それから細々とした雑用を片付けてしまおう。
新米修道女であるサーラは、朝からそんな計画を立てていたのだ。
それなのに。
「すまなかった」
招かれざる客は、男子禁制の修道院において最もふさわしくない若い男性だ。彼はサーラに会うなり謝罪すると、勢いよく頭を下げた。
(ええと……)
サーラは困惑して、目の前にいるその男性を見つめる。
彼は、リナン王国の王太子カーティス。
つい最近までサーラの婚約者だった男性だ。
サーラは目の前で頭を下げたまま動かない、かつての婚約者を見つめる。
いくら婚約者だったとはいえただの貴族の娘に、王太子が頭を下げて謝罪してもいいのだろうか。
そう思ったが、言葉にして諫めるほど彼に対する思い入れはなくなっていた。
それほどのことを、彼にはされている。
(今さら、何をしにいらしたのかしら……)
< 1 / 296 >