婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!
 困難であればあるほど燃え上がるのが恋なのだとしたら、カーティスはエリーに恋をしていたのだろう。
 だがカーティスはもちろん、サーラにだって、この婚約は政略でしかない。
 面倒なことばかりする婚約者に愛情なんて持てるはずもなく、サーラも次第に彼と距離を置くようになっていた。
 それなのにエリーはなぜか、わざわざ自分に絡んでくる。
 無視をすればカーティスに叱られて、適当にあしらうとなぜかエリーが泣き出す。
 本当に、面倒だった。
 父に相談しても、いずれこの国の王妃となるのだから、それくらい何とかできなくてどうすると叱られた。
 たしかに王太子妃、さらに王妃となれば、王の愛妾ともうまくやっていかなければならない日が来る。
 しかもあのエリーが、その愛妾となる可能性はとても高いのだから、この程度で音を上げるなということなのだろう。
 だがカーティスのエリーに対する溺愛は学園内に留まらず、夜会でのパートナーですら、サーラではなくエリーを選ぶようになっていた。
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