冷徹外科医と始める溺愛尽くしの政略結婚~不本意ながら、身代わりとして嫁ぎます~
少し遅めのランチを済ませると、次はショッピングだと一矢さんは迷うことなく私を連れていく。
「優は普段のままでも十分可愛いが……」
手持ちの服が少なくて、彼にはすでに気軽に着られるものを数着買ってもらっている。
おまけに、阿久津さんまでもがお詫びだとプレゼントしようとしてくる。まあ、それについては『越権行為だ』と一矢さんが問答無用で追い返しているが。ただ、やはり本業の方の目はたしかなようで、結局は『似合いそうだから』と、一矢さんが買い取ってきてしまうのだ。
「い、一矢さん、お洋服はもう十分です」
明らかに高そうなお店を前で足を止めた一矢さんに、思わず慌てて言う。
「そうか?」なんて首を傾げる一矢さんの手を引いて、違うコーナーへ誘導しようとすれば『優が積極的に俺に触れてくれた』と斜め上を行く発言をされて、あわあわとしてしまった。
「こうして優が、どんどん俺に気を許してくれるのは嬉しいよ。言葉遣いも、もっと自然にしていい」
一矢さんは私がどんな失敗をしようとも、決して怒らないで受け止めてくれると信じられるから、私の接し方も変わっていく。敬語が完全に抜けるにはまだ時間が必要そうだが、彼が喜んでくれるのなら努力をしようと思う。
結局、おそろいのパジャマとマグカップなどの生活用品と、それから今でも続いているメッセージ交換のためのポストイットを購入した。メールでやりとりすればいいとわかっているが、ふたりとも思いの外このつながりを気に入っており、暗黙の了解で継続している。
相手のイメージで互いにこっそり選び合ったそれは、私がネクタイの形を選んだのに対して、一矢さんが手にしていたのは鳥の翼の形だった。『優はもう、自由なんだよ』と手渡されて、思わず涙ぐみそうになってしまった。
「優は普段のままでも十分可愛いが……」
手持ちの服が少なくて、彼にはすでに気軽に着られるものを数着買ってもらっている。
おまけに、阿久津さんまでもがお詫びだとプレゼントしようとしてくる。まあ、それについては『越権行為だ』と一矢さんが問答無用で追い返しているが。ただ、やはり本業の方の目はたしかなようで、結局は『似合いそうだから』と、一矢さんが買い取ってきてしまうのだ。
「い、一矢さん、お洋服はもう十分です」
明らかに高そうなお店を前で足を止めた一矢さんに、思わず慌てて言う。
「そうか?」なんて首を傾げる一矢さんの手を引いて、違うコーナーへ誘導しようとすれば『優が積極的に俺に触れてくれた』と斜め上を行く発言をされて、あわあわとしてしまった。
「こうして優が、どんどん俺に気を許してくれるのは嬉しいよ。言葉遣いも、もっと自然にしていい」
一矢さんは私がどんな失敗をしようとも、決して怒らないで受け止めてくれると信じられるから、私の接し方も変わっていく。敬語が完全に抜けるにはまだ時間が必要そうだが、彼が喜んでくれるのなら努力をしようと思う。
結局、おそろいのパジャマとマグカップなどの生活用品と、それから今でも続いているメッセージ交換のためのポストイットを購入した。メールでやりとりすればいいとわかっているが、ふたりとも思いの外このつながりを気に入っており、暗黙の了解で継続している。
相手のイメージで互いにこっそり選び合ったそれは、私がネクタイの形を選んだのに対して、一矢さんが手にしていたのは鳥の翼の形だった。『優はもう、自由なんだよ』と手渡されて、思わず涙ぐみそうになってしまった。