若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
「旅客船を扱う海運業の場合、観光そのものがビジネスにあてはまることがあるからね」
「うん。コンシェルジュのお仕事と同じだね」
コンテナ船などで世界中で必要な物資を運ぶことが海運業のイメージとしては強いが、そのなかには「乗客」も含まれている。映画で有名なあのタイタニックは豪華客船のイメージが強いが、実際のところは貨物と旅客を同時に扱う「貨客船」というものに該当するのだとマツリカが知ったのは実際にこの業界に入ってからのことだ。
「だけど今日は俺は豪華客船ハゴロモの乗客として、仕事の合間のバカンスに来ているというわけだ。傍らに素敵な恋人をおいて、ね」
「あの、視察はいいの?」
「そんなもの最初の十日間でだいたい済んでいる。あとは細々とした書類をまとめるくらいだよ」
自分のいう恋人という単語には反応せず、マツリカは純粋に彼の仕事の進捗を問いかけてきた。それがすこし、いや、かなり不服なカナトである。
「それより、ハワイの観光名所ってたくさんあるけど……カナトはどこへ連れていってくれるの?」
「うん。コンシェルジュのお仕事と同じだね」
コンテナ船などで世界中で必要な物資を運ぶことが海運業のイメージとしては強いが、そのなかには「乗客」も含まれている。映画で有名なあのタイタニックは豪華客船のイメージが強いが、実際のところは貨物と旅客を同時に扱う「貨客船」というものに該当するのだとマツリカが知ったのは実際にこの業界に入ってからのことだ。
「だけど今日は俺は豪華客船ハゴロモの乗客として、仕事の合間のバカンスに来ているというわけだ。傍らに素敵な恋人をおいて、ね」
「あの、視察はいいの?」
「そんなもの最初の十日間でだいたい済んでいる。あとは細々とした書類をまとめるくらいだよ」
自分のいう恋人という単語には反応せず、マツリカは純粋に彼の仕事の進捗を問いかけてきた。それがすこし、いや、かなり不服なカナトである。
「それより、ハワイの観光名所ってたくさんあるけど……カナトはどこへ連れていってくれるの?」