若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
ほかの観光客と混ざってホノルル港からバスに乗ってワイキキまで出てきたふたりは、いまでもじゅうぶん観光地気分を味わえているのにとカナトの行き先に首を傾げている。
「まあ見てなって」
ふふ、と楽しそうに笑う彼につられて、マツリカも思わずくすくす笑ってしまう。
こうしてみるとカナトはよく笑っている。ロサンジェエルスでシャトルバスに乗ったときから。
今朝だって。美味しい和食膳を食べているときも恋人の練習だといってあっさりマツリカのキスを奪ってきたちょっと意地悪なときもそしていまも。恋人役を受けてくれたマツリカをからかうのがそんなに楽しいのだろうか。
若き海運王はマツリカの手をぎゅっと握りしめて、小声で呟く。
「見てごらん」
「……ダイヤモンドヘッドがどうかしたの?」
「まあ見てなって」
ふふ、と楽しそうに笑う彼につられて、マツリカも思わずくすくす笑ってしまう。
こうしてみるとカナトはよく笑っている。ロサンジェエルスでシャトルバスに乗ったときから。
今朝だって。美味しい和食膳を食べているときも恋人の練習だといってあっさりマツリカのキスを奪ってきたちょっと意地悪なときもそしていまも。恋人役を受けてくれたマツリカをからかうのがそんなに楽しいのだろうか。
若き海運王はマツリカの手をぎゅっと握りしめて、小声で呟く。
「見てごらん」
「……ダイヤモンドヘッドがどうかしたの?」