若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
「……べ、別に泳ぎたいなんて思ってません」
「ハゴロモの最上階にもプレミアムプールがあるんだ、今度そっちでゆっくりしよう」

 まだ二か月もあるんだから、と運ばれてきたドリンクをマツリカに手渡して、カナトは囁く。

「――貴女と俺の、処女航海に乾杯」
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