若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
お酒を飲みながらカナトが注文したコブサラダとカラマリの熱々のフライを食べて、マツリカはすでにお腹がいっぱいになったというのに彼はメインはこれだよとおおきなステーキを美味しそうに頬張っている。たまごかけごはんと和食膳を食べていたときも思ったが、彼はずいぶん食いしん坊のようだ。それなのにすらりとしたスタイルを保っていられるのは、そのぶんしっかり頭と身体を働かせているからなのだろうと理解して、マツリカはちびちびとワイングラスを傾ける。パイナップルのトロピカルな風味を味わえるワインはまるでジュースのように甘くて美味しく、ついついもう一杯口にしてしまう。
「腹ごしらえがおわったら、目的地に向けて車をチャーターするからね」
「歩かないの?」
「さすがに時間がもったいないからね。いまも護衛がついているの気づいてる?」
「あ、はい」
場違いな黒スーツの男性二人組がカナトとマツリカの背後にいるのには気づいていた。彼らはハゴロモに乗船している鳥海御用達のボディガードで、空気のようにカナトのことを見守っている。
「腹ごしらえがおわったら、目的地に向けて車をチャーターするからね」
「歩かないの?」
「さすがに時間がもったいないからね。いまも護衛がついているの気づいてる?」
「あ、はい」
場違いな黒スーツの男性二人組がカナトとマツリカの背後にいるのには気づいていた。彼らはハゴロモに乗船している鳥海御用達のボディガードで、空気のようにカナトのことを見守っている。