若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
かなり年上に見積もられていたことにカナトは苦笑する。たしかに平均より高い身長と大人びた物言いから成熟した息子さんだとはよく言われていたが、まさか目の前の少女にハイスクールのお兄さんだと思われていたとは……そんなに俺老けて見えるのか、と愕然とする。
「……だから、お兄さんじゃなくて“カナト”って呼んでほしいな」
「カナトお兄さん?」
「カナトでいいよ」
「じゃああたしも、りぃかちゃんじゃなくて、ちゃんと名前で呼んで!」
「え」
「マツリーカって」
「まつりいか?」
「なあに? カナト」
ふふっ、と花が綻んだように笑うマツリカを見て、カナトが顔を真っ赤にする。
七歳だというのにこの艶っぽい表情はなんなのだろう。かわいいだけではない、すでに色気が漂っている。妖精や女神がいたら、こんな容姿をしているのかもしれない。
すっかり太陽が落ちたから、彼女の姿はダークブラウンの髪に青みがかった黒い瞳になっていたが、それでも夕暮れの海で泳いでいたときの人魚のような姿を知るカナトは、ときめきを隠せない。
無邪気で、危なっかしくて、放っておけない女の子。
「……だから、お兄さんじゃなくて“カナト”って呼んでほしいな」
「カナトお兄さん?」
「カナトでいいよ」
「じゃああたしも、りぃかちゃんじゃなくて、ちゃんと名前で呼んで!」
「え」
「マツリーカって」
「まつりいか?」
「なあに? カナト」
ふふっ、と花が綻んだように笑うマツリカを見て、カナトが顔を真っ赤にする。
七歳だというのにこの艶っぽい表情はなんなのだろう。かわいいだけではない、すでに色気が漂っている。妖精や女神がいたら、こんな容姿をしているのかもしれない。
すっかり太陽が落ちたから、彼女の姿はダークブラウンの髪に青みがかった黒い瞳になっていたが、それでも夕暮れの海で泳いでいたときの人魚のような姿を知るカナトは、ときめきを隠せない。
無邪気で、危なっかしくて、放っておけない女の子。