若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
そのまま瀬尾が運転する車でハゴロモ船内に戻ったが、仰木の言葉がぐるぐるとあたまのなかで反芻されっぱなしのマツリカは、船が出航したことにすら気づかないまま、カナトが宿泊しているプレミアムスイートルームのソファのうえで茫然としている。
「マツリカは食べないのか?」
「いまは、そんな気分じゃない……」
ホテルを出てから言葉数が少なくなってしまったマツリカを気遣うように、カナトは傍にいてくれる。
すでに夕食の時間だが、今夜は下階のレストランではなく、部屋に料理を運んでもらったため、カナトは朝食のときと同じようにテーブルにコース料理を並べてもらってフォークとナイフを器用につかって美味しそうに食べていた。今夜はフレンチを頼んだらしい。
「マツリカは食べないのか?」
「いまは、そんな気分じゃない……」
ホテルを出てから言葉数が少なくなってしまったマツリカを気遣うように、カナトは傍にいてくれる。
すでに夕食の時間だが、今夜は下階のレストランではなく、部屋に料理を運んでもらったため、カナトは朝食のときと同じようにテーブルにコース料理を並べてもらってフォークとナイフを器用につかって美味しそうに食べていた。今夜はフレンチを頼んだらしい。