若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい

《2》


「で」
「なんでカナトが怒っているんですか? 浩宇くんのご両親も一緒だったのでショッピングモールに併設されたカフェでお茶をしてきたんですよ」
「俺もマツリカとお茶したかった」

 ぶすっとした表情で拗ねているカナトを前に、マツリカははぁとため息をつく。
 護衛と一緒ならハゴロモ船内を散策していても構わないと言っていたのはカナトだったはずだ。
 それなのに自分以外の人間とお茶してきたというだけでこんなにもふて腐れるものだろうか。

「あの、専属コンシェルジュになってから毎日のようにお茶してますよね?」
「そうじゃない。俺はだな、カフェで! ふたりで! デートみたいに! わかるか?」
「……そこまで力説されなくても」
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