若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
「貴女の義弟のことを悪く言うのはアレだが、彼の強硬なまでのやり方は世界に通用しない。いまはまだ投資家たちが面白がっているが、このままだと彼らに弄ばれるだけで終わりだ。借金まみれになって会社そのものを滅ぼしかねない」
マツリカの震える手を握りながら、カナトは冷徹に告げる。いままで隠していた経営者としての一面を出して、海運四天王のひとつである鳥海海運の若き海運王は残酷なまでにマツリカを追い詰める。
「きっとマイルは貴女が俺の弱味を握ったとでも考えているんだろう。語学が堪能なマツリカを妻に迎えれば鳥海海運を出し抜けると安直に考えている可能性もあるが……」
「……そんな」
マイルが会社を窮地に立たせているなどとは思いもしなかったマツリカは、青ざめた表情で救いを求めるようにカナトを見つめる。
「――無駄だよ。貴女がマイルと結婚したところで、キャッスルシーを建て直すことはまず無理だろうから……いや、そもそも俺が許さない」
忌々しそうなカナトの声に、マツリカはごめんなさい、と口走って逃げ出そうとする。
マツリカの震える手を握りながら、カナトは冷徹に告げる。いままで隠していた経営者としての一面を出して、海運四天王のひとつである鳥海海運の若き海運王は残酷なまでにマツリカを追い詰める。
「きっとマイルは貴女が俺の弱味を握ったとでも考えているんだろう。語学が堪能なマツリカを妻に迎えれば鳥海海運を出し抜けると安直に考えている可能性もあるが……」
「……そんな」
マイルが会社を窮地に立たせているなどとは思いもしなかったマツリカは、青ざめた表情で救いを求めるようにカナトを見つめる。
「――無駄だよ。貴女がマイルと結婚したところで、キャッスルシーを建て直すことはまず無理だろうから……いや、そもそも俺が許さない」
忌々しそうなカナトの声に、マツリカはごめんなさい、と口走って逃げ出そうとする。