若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
 けれど、彼の腕のなかにいる彼女はとらわれたまま、深いキスを与えられてしまう。

「ッ――ン!?」
「あんなやつと結婚なんて、させない。マツリカだってイヤなんだろう?」
「カナト……」

 深いサファイアブルーのような瞳を潤ませて、マツリカは彼の接吻をおとなしく受け入れる。
 彼以外の異性と、こんな風にふれあうことなどもはやできないと、彼女は痛感していた。

「最後までしないなんて、約束しなければよかった……!」
「ふ、ぁっ」
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