若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
 この指輪を見せればきっと、彼女もわかってくれると信じたい。「Dear my fastival flower」と刻まれたお守りのサファイアリングを、あの左手薬指にはめてあげたい。きっとぶかぶかだと思うけど。
 しげしげと指輪を眺めれば、英字だけでなく模様のような言語が刻まれている。その言葉がきっと、“マリカー”、ナガタニが彼女を呼んだという“祭祀の花”なのだろう。

 ――ヒンディー語? マツリカはサンスクリット語って言っていたっけ。

 そして年越しはフィリピン海クルージングを終えた後の日本、沖縄だ。
 一足早い婚前旅行になればいい。
 そして、東京でクルーズが終わってからも俺の花嫁として傍に……
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