若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
常夏の国だから風邪をひくことはないけれど、ターメリックで炊いたナシクニンご飯をみんなで食べるまでに身体中にへばりついた花びらがなかなか取れなかったっけ……
そうだ。その儀式のためにつかわれる花たちの名前が「クムクマン」。
「薔薇、イランイラン、黄色と白のチュンパカに、ジャスミン……五色の花、祭祀の花」
「ちなみにジャスミンはサンスクリット語で“マリカー”と呼ぶ」
「カナト、どうしてそのこと……」
「あれから調べたんだ。貴女のことをすべて知りたくて。ナガタニが愛した貴女を俺も愛したくて」
そして、彼の手から差し出されたのは。
海の色を閉じ込めたかのような紺碧のサファイアの指輪、だった。
そうだ。その儀式のためにつかわれる花たちの名前が「クムクマン」。
「薔薇、イランイラン、黄色と白のチュンパカに、ジャスミン……五色の花、祭祀の花」
「ちなみにジャスミンはサンスクリット語で“マリカー”と呼ぶ」
「カナト、どうしてそのこと……」
「あれから調べたんだ。貴女のことをすべて知りたくて。ナガタニが愛した貴女を俺も愛したくて」
そして、彼の手から差し出されたのは。
海の色を閉じ込めたかのような紺碧のサファイアの指輪、だった。