若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
《3》
五色の花々が散らされたベッドに押し倒されて、マツリカは生まれたままの姿を晒す。
催淫作用があるというイランイランをはじめとした初夜の儀式でつかわれることもあるという芳醇な香りを誇る花たちは、マツリカの裸体を彩るかのように飾られている。カナトの甘い口づけに酔わされて、すでに腰が砕けている彼女はそのまま覆い被さってきた彼の身体から逃れることも叶わない。
「んっ……カナト」
「いいんだね」
「ここまで来てやめる方が残酷じゃない?」
「だな」
ハゴロモで過ごしたときよりもどこか穏やかなカナトに全身を愛撫され、すでに準備ができていることは理解しているはずなのに、彼はここにきてマツリカを焦らす。
最後までしたいと言っていたのはマツリカではなくカナトなのに、彼は涼しい顔で彼女を責めつづけている。
「もぅ、カナト……」
「はじめてだから。大切に抱きたいんだよ」
「で、でも」