若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
   * * *

  カナトの宣言通り、ヴィラのちいさなベッドのうえでクリスマスイブ前夜から船が出港するクリスマスの夕方まで、マツリカは服を着ることも許されないまま、彼に何度も抱かれていた。食事をするときも常にベッドの上で、カナトが主導権を握っていた。
 楽しみにしていたクリスマスディナーも彼の手でマツリカの口元まで運ばれ、小鳥の雛のような気分で必死になって食べていた。口移しでシャンパンを与えられたら、食事の時間はおしまい。今度はマツリカ自身がデザートになって、カナトに美味しくいただかれる。
 ケーキを胸元に零されてクリームと一緒にぺろぺろ舐められたり、泥のように眠っていたのに大理石の浴場に運ばれて身体を清められたかと思えばまた貪られたり、バリ島でのちょっぴりただれた三日間はあっという間でありながら、甘く熟れた果実のように濃厚だった。
 身も心もカナトの愛に酔わされ、女性としての悦びに目覚めたマツリカだったが、体力の消耗も想像以上、で。

「うぅ、腰がいたいよ……」
「ごめん。マツリカがあまりに可愛かったから」
「だ、だからって」
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