若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
* * *
BPW本社のオフィスに入り、会議室の扉をノックしたマツリカは、にこにこと微笑む同郷出身のCOOの姿を前に凍りつく。
副社長兼COOとしてBPWの客船事業の深部に携わる初老の男の名は西島アルベルト壮一。どこをどう見ても日本人のおじさんだがアルベルトという堅苦しいミドルネームが示す通り、彼もマツリカ同様に複雑なルーツを持っている。そのためマツリカが入社してからは親戚のおじさんのように彼女をサポートしてくれるのだ。ときにお節介だったりよけいな仕事も持ち込んでくるが。
この胡散臭い笑顔、ぜったいに裏がある。
今回はよけいな仕事、それもとんでもない案件のミッションだ。
「城崎。次の仕事が決まったぞ~。ハゴロモだ」
「ハゴロモ……ってあの羽衣?」
「あぁ、日乃の隠し種のハゴロモ。管理するのが大変だってはなしが前から出てたからね。ついに手放す決意をしたってわけだ」
BPW本社のオフィスに入り、会議室の扉をノックしたマツリカは、にこにこと微笑む同郷出身のCOOの姿を前に凍りつく。
副社長兼COOとしてBPWの客船事業の深部に携わる初老の男の名は西島アルベルト壮一。どこをどう見ても日本人のおじさんだがアルベルトという堅苦しいミドルネームが示す通り、彼もマツリカ同様に複雑なルーツを持っている。そのためマツリカが入社してからは親戚のおじさんのように彼女をサポートしてくれるのだ。ときにお節介だったりよけいな仕事も持ち込んでくるが。
この胡散臭い笑顔、ぜったいに裏がある。
今回はよけいな仕事、それもとんでもない案件のミッションだ。
「城崎。次の仕事が決まったぞ~。ハゴロモだ」
「ハゴロモ……ってあの羽衣?」
「あぁ、日乃の隠し種のハゴロモ。管理するのが大変だってはなしが前から出てたからね。ついに手放す決意をしたってわけだ」