若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
「マイくんのじゃない」
「あの男になにかされたか?」
きっぱり言い返すマツリカに、マイルが一瞬怯み、早口で反発する。
あの男、とはカナトのことだろう。クルーズでのひとときがぶわっと思い出されてマツリカの頬が紅潮する。
その反応が気に食わなかったのか、マイルはふん、と鼻を鳴らして金髪美女に「出ろ」と一言命じる。彼女は澄ました表情で部屋の扉をひらき、姿を消す。
マイルとふたりきりの状態で残されてしまったマツリカは、どうにかしてベッドから出ようと身体を起こそうとするが、指先を動かすので精一杯だ。
「そっか。やはりりいかはあの男に……」
「そんなこと、マイくんには関係ないでしょ」
「ふうん、関係ない、ね」
マツリカが横たわっているベッドに近づき、すっと手をのばして彼女の首筋にふれる。
そこにはカナトが刻み付けたキスマークがくっきりと残されている。
マイルに薔薇の花を撫でられて、マツリカの身体に震えが走る。
「りいか。オレは誰かさんと違って結婚するまでは最後までしないつもりだったけど……こんなにひどい目にあったのなら、オレが」
「ひどい目になんか、あってない!」
「あの男になにかされたか?」
きっぱり言い返すマツリカに、マイルが一瞬怯み、早口で反発する。
あの男、とはカナトのことだろう。クルーズでのひとときがぶわっと思い出されてマツリカの頬が紅潮する。
その反応が気に食わなかったのか、マイルはふん、と鼻を鳴らして金髪美女に「出ろ」と一言命じる。彼女は澄ました表情で部屋の扉をひらき、姿を消す。
マイルとふたりきりの状態で残されてしまったマツリカは、どうにかしてベッドから出ようと身体を起こそうとするが、指先を動かすので精一杯だ。
「そっか。やはりりいかはあの男に……」
「そんなこと、マイくんには関係ないでしょ」
「ふうん、関係ない、ね」
マツリカが横たわっているベッドに近づき、すっと手をのばして彼女の首筋にふれる。
そこにはカナトが刻み付けたキスマークがくっきりと残されている。
マイルに薔薇の花を撫でられて、マツリカの身体に震えが走る。
「りいか。オレは誰かさんと違って結婚するまでは最後までしないつもりだったけど……こんなにひどい目にあったのなら、オレが」
「ひどい目になんか、あってない!」