若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
夕方の商店街を楽しそうに練り歩く子どもたちとすれ違いながら、マツリカはロサンジェルス行きの飛行機に乗るため、真っ赤なキャリーバッグをガラガラと引きずりながら歩いていた。今日は黒いシンプルなワンピースにブラックレザーのパンクなジャケットを羽織っている。踏まれたら痛そうなゴテゴテした銀装飾がされた黒のロングレザーブーツで非日常的な黄昏のニューヨークを闊歩すると、まるで自分も魔女になったかのような錯覚に陥る。三角帽子も魔法の箒もないけれど。
――魔女の箒なら、NYからLAまでひとっ飛び! なぁんてね。
ニューヨークからロサンジェルスに向かうには飛行機で三時間ほどかかるのだ。
向こうに到着する頃にはすっかり日が暮れて夜になっていることだろう。マンハッタンからLIRR (ロングアイランドレイルロード)とエアトレインを乗り継いで到着したジョン・F・ケネディ国際空港(通称JFK)の第八ターミナルで手続きを終えたマツリカは空港ラウンジに入ってからふぅと息をつく。
――魔女の箒なら、NYからLAまでひとっ飛び! なぁんてね。
ニューヨークからロサンジェルスに向かうには飛行機で三時間ほどかかるのだ。
向こうに到着する頃にはすっかり日が暮れて夜になっていることだろう。マンハッタンからLIRR (ロングアイランドレイルロード)とエアトレインを乗り継いで到着したジョン・F・ケネディ国際空港(通称JFK)の第八ターミナルで手続きを終えたマツリカは空港ラウンジに入ってからふぅと息をつく。