若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
* * *
夕陽が沈んでいくなかを泳いでいたカナトは白い水着の少女が楽しそうに水と戯れている姿を見つけて、目をまるくする。
肩まで切りそろえられた少女の髪は、もともと色素も薄いのだろう、太陽のひかりの加減もあって、蜂蜜をまぶしたような黄金色をしていた。視線を感じたのかこちらを見て、同じようにひとりで泳いでいたカナトを手招きする。くりくりとしたおおきな青い瞳の、可愛らしい子だ。現地の子どもだろうか。親はどこにいるのだろう。周囲を見回してもそれらしきおとなの姿は見当たらない。背後で伊瀬が心配そうに手を振っているのを見たので、大丈夫だと頷いてから、少女の方へ泳いでいく。
たしかシンガポールの公用語は英語だから、カナトでもどうにか会話はできるはずだ。
――わ! あのお兄さん泳ぎのフォームきれい。
夕陽が沈んでいくなかを泳いでいたカナトは白い水着の少女が楽しそうに水と戯れている姿を見つけて、目をまるくする。
肩まで切りそろえられた少女の髪は、もともと色素も薄いのだろう、太陽のひかりの加減もあって、蜂蜜をまぶしたような黄金色をしていた。視線を感じたのかこちらを見て、同じようにひとりで泳いでいたカナトを手招きする。くりくりとしたおおきな青い瞳の、可愛らしい子だ。現地の子どもだろうか。親はどこにいるのだろう。周囲を見回してもそれらしきおとなの姿は見当たらない。背後で伊瀬が心配そうに手を振っているのを見たので、大丈夫だと頷いてから、少女の方へ泳いでいく。
たしかシンガポールの公用語は英語だから、カナトでもどうにか会話はできるはずだ。
――わ! あのお兄さん泳ぎのフォームきれい。