若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
オーナー権限で城崎祭花を自分専属のコンシェルジュとして傍に置くことも可能だっただろうが、強引に彼女を自分のもとに連れてきたところで彼女の気持ちがこちらに向くとも限らない。極端なことを言えば寝首を掻かれる可能性だってあるのだから。
――それでも、彼女のことが気になって仕方がない。どうすればいい?
もし、彼女が鳥海を陥れようとするスパイだとしたら、彼女の方からなんらかの形で接触してくるはずだ。そうでなくても……明日から客とコンシェルジュとして同じ船のうえで長期間のクルーズがはじまる。焦らなくても今夜みたいに逃げられることはそうそうないだろう。
十五年来の初恋を拗らせている若き海運王は、めくるめく豪華客船の旅に想いを馳せる。
「まぁいいか。二ヶ月もあればもう一度口説きなおせるものな……貴女が鳥海の敵だろうがかまわない。楽しみだよ、まつりいか」
――それでも、彼女のことが気になって仕方がない。どうすればいい?
もし、彼女が鳥海を陥れようとするスパイだとしたら、彼女の方からなんらかの形で接触してくるはずだ。そうでなくても……明日から客とコンシェルジュとして同じ船のうえで長期間のクルーズがはじまる。焦らなくても今夜みたいに逃げられることはそうそうないだろう。
十五年来の初恋を拗らせている若き海運王は、めくるめく豪華客船の旅に想いを馳せる。
「まぁいいか。二ヶ月もあればもう一度口説きなおせるものな……貴女が鳥海の敵だろうがかまわない。楽しみだよ、まつりいか」