若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
餘江も納得いかなそうにしていたがそれよりも不服そうにしていたのは彼女に代わって最上階から降りてきた金髪美女のベテランコンシェルジュだろう。BPWの親会社から派遣された現地法人直属のコンシェルジュである彼女が豪華クルーズ開始からわずか十日で交代を命じられたのだから。
スタッフルームに来てすぐに若き海運王に用済みだと捨てられたと大袈裟に嘆いていた彼女は、子会社の若いだけがとりえの新人のくせにとマツリカを恨めしそうに見つめている。「どうせあんたもすぐお役ごめんになるでしょうね」と英語で罵られたが状況が把握できないマツリカは「そうですね、ご忠告ありがとうございます」とマレー語でのほほんと言い返して荷造りに勤しんでいる。
日本語ではない言語で返され理解ができなかった金髪美女はバカにされたと憤りふんふん鼻を鳴らして外に出ていく。それを面白そうに見送ったミユキが「金髪には十日で飽きる、かぁ」とマツリカの前で揶揄する。
「とはいえあと二ヶ月近くクルーズがつづくから、あたしもすぐに交代させられると思いますよ?」
スタッフルームに来てすぐに若き海運王に用済みだと捨てられたと大袈裟に嘆いていた彼女は、子会社の若いだけがとりえの新人のくせにとマツリカを恨めしそうに見つめている。「どうせあんたもすぐお役ごめんになるでしょうね」と英語で罵られたが状況が把握できないマツリカは「そうですね、ご忠告ありがとうございます」とマレー語でのほほんと言い返して荷造りに勤しんでいる。
日本語ではない言語で返され理解ができなかった金髪美女はバカにされたと憤りふんふん鼻を鳴らして外に出ていく。それを面白そうに見送ったミユキが「金髪には十日で飽きる、かぁ」とマツリカの前で揶揄する。
「とはいえあと二ヶ月近くクルーズがつづくから、あたしもすぐに交代させられると思いますよ?」