若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい
「――君、日本語わかる、の……?」
「すこし」
ふるふると首を振ったマツリカは、やがて目的の人物を見つけたのかその場ですくっと立ち上がり「ばーぱー!」と声を張り上げる。伊瀬が探したであろう彼女の父親らしき男が「マリカー!」と叫びながら駆けつける。屈強な体つきの男性がカナトとマツリカを見て、目を瞠る。
「Anak raja perkapalan!?」
カナトの姿を認めた男性は、英語でも日本語でもない言語を口にしながら感嘆の声をあげる。
マツリカが「bapa? Apa yang awak cakap?」と同じような言葉で問い返せば、慌てて彼は伊瀬とカナトの前で跪く。
「失礼いたしました……マリカー、娘を助けていただきありがとうございます」
「あの……貴方は?」
きょとんとするカナトに、伊瀬が日本語で囁けば、彼は納得したのかホッと息をつく。
「そうか、現地法人の航海士なのか」
「一等航海士の長谷と申します。海上職ゆえなかなか本社に参ることはありませんが」
「すこし」
ふるふると首を振ったマツリカは、やがて目的の人物を見つけたのかその場ですくっと立ち上がり「ばーぱー!」と声を張り上げる。伊瀬が探したであろう彼女の父親らしき男が「マリカー!」と叫びながら駆けつける。屈強な体つきの男性がカナトとマツリカを見て、目を瞠る。
「Anak raja perkapalan!?」
カナトの姿を認めた男性は、英語でも日本語でもない言語を口にしながら感嘆の声をあげる。
マツリカが「bapa? Apa yang awak cakap?」と同じような言葉で問い返せば、慌てて彼は伊瀬とカナトの前で跪く。
「失礼いたしました……マリカー、娘を助けていただきありがとうございます」
「あの……貴方は?」
きょとんとするカナトに、伊瀬が日本語で囁けば、彼は納得したのかホッと息をつく。
「そうか、現地法人の航海士なのか」
「一等航海士の長谷と申します。海上職ゆえなかなか本社に参ることはありませんが」