アラサー地味子@シャトーホテル/フランスでワケアリ御曹司に見初められちゃいました
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東京でイタリアの大富豪、ミケーレ・ドナリエロさんとの交渉がまとまって、ジャンはラファイエット・グループの経営再建を引き続き任された。
共同出資者のミレイユもたまに口を出しに来る。
「はあい、みなさん、お元気? 大口株主様をオモテナシしなさいな」
改装が終わったシャトーホテル、オテル・ドゥ・シャトー・ドゥボーセは想定していた以上に予約が埋まって、黒字化へ向けて順調に営業を始めていた。
特に薔薇の花を敷きつめたスイートルームがSNSで取り上げられて世界中で話題になっている。
「何これ、造花じゃないの」と、ミレイユが一輪拾い上げてベッドの上に転がす。「百均?」
ジャンが肩をすくめる。
「ちゃんとした職人の作品だよ。毎回生花を使ってたらもったいないし、掃除も大変だろ」
「ま、写真に撮るだけなら映えるもんね」
ミレイユがベッドに横たわる。
「あたしの写真使う? 事務所通してね」
「経費削減でお断りだ」
「同じでしょ。どっちにしてもあたしの財布に入るんだから」
口うるさい株主様のおかげでジャンも大変そう。
でも、今度うちの両親をこのシャトーホテルに招待してくれることになっている。
ファーストクラスの航空チケットはもう送ってある。
宝くじと一緒に神棚に飾った写真が送られてきた。
いい親孝行ができそう。
ありがとう、ジャン。
これからもよろしくね。