アラサー地味子@シャトーホテル/フランスでワケアリ御曹司に見初められちゃいました
と、そんなことを思い出していたら、また、ジャンにされたあんなこととかこんなこととか、いろんなことがよみがえってきて、シャワーなのにのぼせてしまいそうになる。
おまけに、シャワーブースを出て洗面台の鏡の前でバスローブをまとおうとしたら、右胸の乳首の下に長い毛が生えているのを見つけてしまった。
うわあ、どうしよう。
左胸のことばかり気にしていて、右胸は完全に油断してた。
ぷちっ……痛っ。
もう、やだ。
こんなの見られてたんだ。
あきれられてないかな。
髪の毛もいつの間にか伸びてるし。
美容院行ったのいつだっけ。
私はいつも襟足の短いショートボブにしてもらっている。
それが肩にかかるくらいまで来てるから、相当放置してたんだな。
もともと毛が太くてボリューミーだから横にも広がっちゃってまとまりがないし。
メイクもナチュラルにもほどがあるよね。
今の職場はおじさんたちがセクハラとかコンプライアンスを気にして女性の外見のことは一切触れてこないから、みんな私とおんなじ感じなんだよね。
そういえば顔の産毛処理なんて、お試しでやってみて以来ごぶさたしてるな。
あれって、四捨五入でもうアラサーだわなんて笑ってた頃か。
若い素材を生かすナチュラルメイクなんて歳はとっくに過ぎて、隠すためのメイクも覚えないといけないよね。
洗面台に腰を預けて落ち込んでいたらジャンがやってきた。
「ああ、ここにいたのか。待たせたね」
――やだ、もう。
下着つけてないし、ガウンの前も合わせてないじゃない。
びっくりして、自分のことなんかどうでもよくなっちゃった。
「おっと、これは失礼」
鏡に映った自分自身の姿に気づいたのか、くるりと背中を向けてジャンが腰紐を結び合わせる。
クロードさんも目のやり場に困ったんじゃないの?
毎朝こんな調子なのかな。
――ていうか、ずるいんですけど。
ちゃんと、処理してあるじゃない。
恥ずかしくてあの最中は全然見てなかったけど、無駄毛はないし、残ったところはきれいに刈りそろえられている。
お金持ちだからエステでやってもらってるのかな。
私だけボーボー。
こちらに向き直ったジャンが両手を広げて肩をすくめる。
「どうしたんだい、ユリ。不機嫌そうだよ」
「なんでもないです」
「もう僕のことが嫌いになったの?」
私は彼の胸に飛び込んだ。
「好きで困ってるの」
ジャンが耳まで赤くしながらニヤける。
「困らせてごめんよ」
――もう……。
私は彼の胸をキツツキのように指でつついた。
「私のこと、飽きてない?」
それは正直な不安だった。
一口つまみ食いしてみたら、案外つまらない女だったとか。
揚げたての唐揚げはつまみぐいするくせに、いざ食卓に並べるとよそで食べた唐揚げがおいしかったなんて話ばかりする。
男の欲望は気まぐれ。
手に入らないうちは追い求められ、知ってしまえば捨てられる。
学生時代からそんな話を嫌というほど聞かされてきたけど、全部他人事だと思ってた。
いざ自分のことになると全然自信がない。
おまけに私なんかお手入れもいいかげんだし。
飽きられても文句言えない。
おまけに、シャワーブースを出て洗面台の鏡の前でバスローブをまとおうとしたら、右胸の乳首の下に長い毛が生えているのを見つけてしまった。
うわあ、どうしよう。
左胸のことばかり気にしていて、右胸は完全に油断してた。
ぷちっ……痛っ。
もう、やだ。
こんなの見られてたんだ。
あきれられてないかな。
髪の毛もいつの間にか伸びてるし。
美容院行ったのいつだっけ。
私はいつも襟足の短いショートボブにしてもらっている。
それが肩にかかるくらいまで来てるから、相当放置してたんだな。
もともと毛が太くてボリューミーだから横にも広がっちゃってまとまりがないし。
メイクもナチュラルにもほどがあるよね。
今の職場はおじさんたちがセクハラとかコンプライアンスを気にして女性の外見のことは一切触れてこないから、みんな私とおんなじ感じなんだよね。
そういえば顔の産毛処理なんて、お試しでやってみて以来ごぶさたしてるな。
あれって、四捨五入でもうアラサーだわなんて笑ってた頃か。
若い素材を生かすナチュラルメイクなんて歳はとっくに過ぎて、隠すためのメイクも覚えないといけないよね。
洗面台に腰を預けて落ち込んでいたらジャンがやってきた。
「ああ、ここにいたのか。待たせたね」
――やだ、もう。
下着つけてないし、ガウンの前も合わせてないじゃない。
びっくりして、自分のことなんかどうでもよくなっちゃった。
「おっと、これは失礼」
鏡に映った自分自身の姿に気づいたのか、くるりと背中を向けてジャンが腰紐を結び合わせる。
クロードさんも目のやり場に困ったんじゃないの?
毎朝こんな調子なのかな。
――ていうか、ずるいんですけど。
ちゃんと、処理してあるじゃない。
恥ずかしくてあの最中は全然見てなかったけど、無駄毛はないし、残ったところはきれいに刈りそろえられている。
お金持ちだからエステでやってもらってるのかな。
私だけボーボー。
こちらに向き直ったジャンが両手を広げて肩をすくめる。
「どうしたんだい、ユリ。不機嫌そうだよ」
「なんでもないです」
「もう僕のことが嫌いになったの?」
私は彼の胸に飛び込んだ。
「好きで困ってるの」
ジャンが耳まで赤くしながらニヤける。
「困らせてごめんよ」
――もう……。
私は彼の胸をキツツキのように指でつついた。
「私のこと、飽きてない?」
それは正直な不安だった。
一口つまみ食いしてみたら、案外つまらない女だったとか。
揚げたての唐揚げはつまみぐいするくせに、いざ食卓に並べるとよそで食べた唐揚げがおいしかったなんて話ばかりする。
男の欲望は気まぐれ。
手に入らないうちは追い求められ、知ってしまえば捨てられる。
学生時代からそんな話を嫌というほど聞かされてきたけど、全部他人事だと思ってた。
いざ自分のことになると全然自信がない。
おまけに私なんかお手入れもいいかげんだし。
飽きられても文句言えない。