アラサー地味子@シャトーホテル/フランスでワケアリ御曹司に見初められちゃいました
「コレカラハ、ワタシモ、ニホンゴヲ、ベンキョ、シナクテハ、ナリマセン」
お母様……。
私は思わずアレクサンドラさんに抱きついていた。
「ありがとうございます。メルシ、おかあさん」
左右の頬に口づける。
お母さんも同じように返してくれた。
「フランス式の挨拶はもう教えなくてもいいみたいね」
「はい。フランス語も一生懸命覚えます」
ソファに並んで座って、お母さんが私の手を握る。
「ワタシハ、アナタガ、シンパイデス」
二回まばたきをしてため息をつく。
「若い頃、私は過ちを犯しました。私は不幸を選んだ。私は間違えたのです。子供だった。弱かった。私はずっとそれを後悔しながら生きてきたの」
私は左胸に手を当てた。
ジャンから聞いた話を思うと私も心が痛む。
「フランス人はみな恋が下手なの。だからフランス人は愛を裁かない。みんな間違えるから。愛を裁いていたら、フランスから人がいなくなる」
そしてお母さんは日本語で続けた。
「アナタハ、ジャンヲ、シンジマスカ?」
「はい」
なんかの信者みたい。
「ユリさん、ジャンを頼みますよ。愛し合って生まれた自慢の息子。あなたを選んだ賢い息子ですから」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
お母さんは口元に柔らかな笑みを浮かべてつぶやいた。
「これでいいのです。これですべてを終わらせましょう。過ちを二度繰り返すことはないのです。不幸の連鎖はこれで終わり。ユリさん、あなたに私と同じ苦しみを味わってほしくない。何があってもあなた自身で考えて答えを選ぶのですよ」
「はい。分かりました」
サラさんと三人でスマホの連絡先を交換し合って、昼食に下のホテルから取り寄せたお寿司をごちそうになった。
部屋を出る時に、お母さんがフランス語で私に何か言っていた。
エレベーターの中でスマホの画面を見たら、『ミシェルはあなたに素敵な服を作った。とても似合う』と表示されていた。
ありがとうございます、お母さん。
私、この国で生きていけるような気がする。
いい人達に助けられて、幸せ。
私も恩返しができるように、がんばらなくちゃ。
これから何が起こったとしても、乗り越えていける。
そのときは私もそう思っていた。
お母様……。
私は思わずアレクサンドラさんに抱きついていた。
「ありがとうございます。メルシ、おかあさん」
左右の頬に口づける。
お母さんも同じように返してくれた。
「フランス式の挨拶はもう教えなくてもいいみたいね」
「はい。フランス語も一生懸命覚えます」
ソファに並んで座って、お母さんが私の手を握る。
「ワタシハ、アナタガ、シンパイデス」
二回まばたきをしてため息をつく。
「若い頃、私は過ちを犯しました。私は不幸を選んだ。私は間違えたのです。子供だった。弱かった。私はずっとそれを後悔しながら生きてきたの」
私は左胸に手を当てた。
ジャンから聞いた話を思うと私も心が痛む。
「フランス人はみな恋が下手なの。だからフランス人は愛を裁かない。みんな間違えるから。愛を裁いていたら、フランスから人がいなくなる」
そしてお母さんは日本語で続けた。
「アナタハ、ジャンヲ、シンジマスカ?」
「はい」
なんかの信者みたい。
「ユリさん、ジャンを頼みますよ。愛し合って生まれた自慢の息子。あなたを選んだ賢い息子ですから」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
お母さんは口元に柔らかな笑みを浮かべてつぶやいた。
「これでいいのです。これですべてを終わらせましょう。過ちを二度繰り返すことはないのです。不幸の連鎖はこれで終わり。ユリさん、あなたに私と同じ苦しみを味わってほしくない。何があってもあなた自身で考えて答えを選ぶのですよ」
「はい。分かりました」
サラさんと三人でスマホの連絡先を交換し合って、昼食に下のホテルから取り寄せたお寿司をごちそうになった。
部屋を出る時に、お母さんがフランス語で私に何か言っていた。
エレベーターの中でスマホの画面を見たら、『ミシェルはあなたに素敵な服を作った。とても似合う』と表示されていた。
ありがとうございます、お母さん。
私、この国で生きていけるような気がする。
いい人達に助けられて、幸せ。
私も恩返しができるように、がんばらなくちゃ。
これから何が起こったとしても、乗り越えていける。
そのときは私もそう思っていた。