二人の幼なじみに愛されてます

あんま人にその顔見せるなよ

鏡の前で新しい制服に腕を通す。セーラー服とはお別れして、紺色のブレザーはまだ皺一つついていない。新しい制服に気分が高まる。同じく新しくなったリュックを肩にかけた。リュックに付けたテニスラケットのキーホルダーが揺れた。

 「愛乃(よしの)」と窓の外から大きな声が聞こえて、急いで部屋を出て階段を駆け下りた。



「いってきまーす」



 履き慣れないローファーに足を通す。傷一つついていないそれは歩くと少し痛かった。



「いってらっしゃい。もう、初日からバタバタとして」と、お母さんが呆れていた。

 「初日」。そう、今日から私は高校一年生になるんだ。

 玄関を開けて外にでると、お馴染みの二人が立っていた。



「お待たせ」



 さっき私の名前を呼んだ律くんが「おはよう、愛乃」と返す。



「はよ」



 あくびをしながら、理央が言った。
< 1 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop