二人の幼なじみに愛されてます
「私、斎愛乃って言うの。よろしくね」



 理央が会話を切り出してくれたおかげで声を出すことができた。



「佐伯穂香です」



 続けて理央と律くんが自己紹介をする。



「佐伯さん、俺たちと同じクラスだよね」



 お互いの名前を知ったところに理央が言った。

「えっと」と、穂香ちゃんが目を泳がせる。



「うそ、同じクラスだったの」



「昨日は愛乃、緊張してたもんな」と律くんがフォローしてくれた。



 理央は気づいていたのに。



「ごめん、私知らなくて」と穂香ちゃんに謝る。



「全然。私も気づかなかったから」



 穂香ちゃんの声はやさしい日だまりのようだった。

「松吉くんもごめんね。昨日は緊張して周り見えてなかったから」と、穂香ちゃんは理央に言う。



「初日で全員のこと知ってたら怖いでしょ。佐伯さんのことはたまたま気づいただけだから」



「でも、ありがとう」



 微笑んだ穂香ちゃんはとてもかわいかった。

 その場で私たちは連絡先を交換した。
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