二人の幼なじみに愛されてます
もしかして、こないだのことを気にしているのかな。

広い教室で近づく必要はないけど、机一つ分の距離がちょっともどかしかった。



「もう。先生どこいったのー」



静かな教室に廊下から女子が話す声が聞こえた。その話声は近くなって。

ガラッと教室の扉が開いてクラスの女子が二人入ってきた。



「あ、松吉君だ」

「勉強してるのー? そうだ、松吉君数学得意だったよね。先生いなくて、教えてくれる? 」



二人に声をかけられた理央は微笑んで答える。



「ごめんね、先約がいるからまた今度」



私のこと気にして断ってくれたのかな。いつもの理央なら教えてあげそうなのに。



「そっかー、残念」



彼女たちは沈んだ声を出す。



「理央」



理央の袖をそっと引っ張る。



「教えてあげていいよ。困ってるみたいだし」



今のところ私はわからない問題はないし。

理央の顔を見て頷く。



「わかった。いいよ、わかんないとこどこ? 」
< 119 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop