二人の幼なじみに愛されてます
理央の優しさがうれしいはずなのに、よくわからなくて。

視界がにじんでいく。

あれ、なんで泣いてるの。

理央から隠すように溢れた雫を手で拭う。

それでも溢れてくる。ノートに染みを作っていく。



「え、どうした」



いきなり、泣いてるなんて意味わからないよね。

私もなんで泣いてるのか自分の気持ちがわからないよ。

うれしいのか。悲しいのか。悔しいのか。言葉で言い表せない感情がぐちゃぐちゃになって涙として現れる。

泣きやみたいのに。治まらないよ。



「問題集忘れるとか勉強できないじゃん。ばか」

「あはは、ごめんー」



廊下からさっきの二人の声が聞こえる。

問題集忘れたって、教室に入ってくるの。

泣いてるとこ見られちゃう。

扉が開いて、彼女たちが入ってくると同時に。



「え、理央」



身体が理央に引き寄せられたかと思ったら、理央の温もりに包まれる。

気づいたら、理央の胸の中で。
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