二人の幼なじみに愛されてます

「どうしたの、律くん」



いつもは声かけることなく、抱きついてくるのに珍しい。



「佐伯さん、ちょっと愛乃借りてくね」

「はい、どうぞ」



なんで、穂香ちゃんが了承するの。私の意見は。別になにもないからいいんだけど。

私は律くんに腕をひかれて、廊下に連れてこられた。

穂香ちゃんには聞かれたくない話なのかな。



「愛乃、俺の彼女になってくれる？ 」



あれ、デジャブかな。前にも似たようなことを言われたような。



「えっと、律くん」

「愛乃は俺のこと嫌い？ 」



律くんが首を傾けて聞いてくる。



「好きだよ」

「知ってるよ」



ぽん、と頭に手をおかれた。

その満面の笑みをやめて。



「もう、律くん、なんなの」



ごまかさないでよ。きっと、律くんのことだから、何か理由があるんだろうなぁ。



「ごめん、ごめん。彼女のフリしてくれる？ 」

「彼女のフリ？ 」