二人の幼なじみに愛されてます
彼女の足音が遠ざかっていくのを聞いていると、律くんが言った。



「愛乃、顔紅くなってる」

「だって、律くんが」



手繋ぐだけだと思ったのに、あんなことするなんて聞いてないよ。



「愛乃、可愛い」



そう言って、律くんは微笑んだ。それはいつもと違う律くんのようで、うつむいた。

なんで、目合わせられない。



「今度はここにしてあげようか」



唇に律くんの指が触れる。

ぶわっと、顔に熱を帯びる。



「っここ学校だから」

「学校じゃなかったらいいの」



こてんと、首をかしげる律くん。

そういうことじゃない。



「やっぱ、可愛い」

「うりうりやめて」



律くんに髪をわしわしされる。

恋人繋ぎもキスも彼女のフリだからのはずなのに、二人きりの教室で求められるのはなんでなの。
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