極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
 ところが、朝になって目覚めた樹の隣にはもうぬくもりすら残っておらず、サイドテーブルに置き手紙があっただけだ。

【アメリカでのますますのご活躍、陰ながら応援しています。 妹尾】

 仮にも一夜をともにした仲とは思えぬほど他人行儀な別れの言葉に、樹は肩透かしを食らった気分になる。

「なんだよ。連絡先も書いてないし」

 この関係の続きを期待しているのは自分だけだと言われたようで、樹はおもしろくない。

 だが、彼女と連絡が取れないわけではないのだ。ロスに到着してすぐ、樹はミリガン&ジェイの繭のビジネスアドレスにメールを送った。反応がなくともめげずに二、三通と続けて送ったが、いっこうに返信はもらえない。

 六月、樹が日本を離れて三か月が過ぎた。四通目のメールでようやく返ってきたメッセージは、送信失敗を知らせるそっけない英文だった。
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