極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「逃げるって別に悪いことじゃないよ。目指すゴールがあるとして、そこに至る道はきっとたくさんあるからね」
繭は真剣に彼の話に耳を傾ける。
「イジメとかパワハラな上司とか、そんなものからはどんどん逃げていいと思う。その道を経なくても、友人は作れるし、お金は稼げる」
こくりとうなずいた繭を諭すように慎太郎は言った。
「ただし、逃げた道にはもう戻れない。その覚悟が必要だ」
「もう戻れない……」
その真意を確かめるように、ゆっくりと繭はつぶやく。
「その場所に戻りたい、と後悔する可能性が少しでもあるなら逃げないほうがいいのかもね。パワハラな上司とまた働きたいとは、きっと思わないだろ」
「たしかに」
慎太郎のアドバイスを繭はじっくりと反芻する。嫌われるのが怖いという理由で樹から逃げたとして、自分は後悔するだろうか。彼の隣に戻りたいと思う日が来るだろうか。
(――そんなの、思うに決まってるじゃない!)
考えるほどのことでもない。樹が離れたら、その瞬間から彼を恋しく思うに決まっている。間違いなく、百パーセント後悔する。
繭は真剣に彼の話に耳を傾ける。
「イジメとかパワハラな上司とか、そんなものからはどんどん逃げていいと思う。その道を経なくても、友人は作れるし、お金は稼げる」
こくりとうなずいた繭を諭すように慎太郎は言った。
「ただし、逃げた道にはもう戻れない。その覚悟が必要だ」
「もう戻れない……」
その真意を確かめるように、ゆっくりと繭はつぶやく。
「その場所に戻りたい、と後悔する可能性が少しでもあるなら逃げないほうがいいのかもね。パワハラな上司とまた働きたいとは、きっと思わないだろ」
「たしかに」
慎太郎のアドバイスを繭はじっくりと反芻する。嫌われるのが怖いという理由で樹から逃げたとして、自分は後悔するだろうか。彼の隣に戻りたいと思う日が来るだろうか。
(――そんなの、思うに決まってるじゃない!)
考えるほどのことでもない。樹が離れたら、その瞬間から彼を恋しく思うに決まっている。間違いなく、百パーセント後悔する。